有限会社 援農甲立ファーム

「有限会社 援農甲立ファーム」は、安芸高田市内に総農地面積43.7haを保有する農業法人である。平成14年に設立。作物は、お米のほか、アスパラ、ミニトマト、白ネギなど20種類を超える品目の野菜を栽培するなど多岐に渡っている。

平成19年、GLOBALG.A.P.(グローバルギャップ)認証の取得や、平成20年から体験農園を実施するなど、様々な取り組みをなされている。

今回は、社長の光永直義さんに、お話を伺った。

「援農甲立ファームのこれまでの活動が、彼ら彼女らの目標とピッタリ合わさることがある、それが喜びです。」

甲立地域の圃場整備がきっかけで、光永さん含む地域の若手3人で、「有限会社 援農甲立ファーム」を発足させた。圃場整備実施後も耕作を持続するための組織作り(法人化)が、実施の必須条件だったのだ。


「地域で協力し合い盛り上げていけるような農業運営を目指して、社名に「援農」という言葉を入れました。若手3人から始めた「援農甲立ファーム」は、地域の中で、助け助けられの関係性でここまでやってきました。」


と光永さん。

そんな地域との深い関係性を築きながら歩んできた「援農甲立ファーム」は、その歩みの中で、GLOBALG.A.P.(グローバルギャップ)取得や、体験農園実施、多品目の野菜栽培、マルシェの出品など、多岐にわたる特徴的な活動を続けてきた。現在、若い世代が多数働く農業法人となっているのも、その活動の幅広さにあるのではないだろうか。


「我が社の特徴の一つに、農業で独立を目指す従業員を、研修生として受け入れていることが挙げられます。これまで、4名の研修生が独立し、巣立っていきました。みんなそれぞれ様々な目標を持っています。「援農甲立ファーム」のこれまでの活動が、彼ら彼女らの目標とピッタリ合わさることがある、それが喜びです。」


と光永さん。

多品目栽培

「援農甲立ファーム」では、アスパラガス(グリーン・ホワイト)・大長なす・オクラ・白菜 ・広島菜・ミニトマト・白ネギ・大根・ジャガイモ・ブロッコリー・リーフレタス・サニーレタス・春菊・小松菜・ホウレンソウ・水菜・水稲・麦 etc 多品目の野菜を作られている。季節の野菜を各種作付けすることにより、周年にわたって農作物の出荷を行っている。


「野菜作りを始めたきっかけは、米の減反政策でした。その対策として、JA指導員さんのアドバイスをお聞きしながら、野菜作りをスタート。ブロッコリー、ナス、アスパラガスと徐々に品目が増えていきました。」


と光永さん。最初は減反政策の対策として始まった野菜作りであったが、多品目野菜を扱う現在では、人材育成という目的にシフトしてきたという。


「我が社では、独立を希望する従業員も多く働いてもらっています。様々な品目の栽培に携わることは、経験を積んでもらうのにいい教材になります。農業は天候や地形の影響が強く、予定通りに作業が進まないこともありますが、データをとって、分析し、毎年改善しながらより良い方法を模索することが大事だと思っています。」


と光永さん。


「G-GAP認証へのチャレンジは、女性に生き生きと働いてもらえる環境づくりが原点です。」

GLOBALG.A.P.(グローバルギャップ)とは、農作物が安全・安心で適切な品質管理がされていることや、作業者の労働管理が適切であることを保証するなど、GOOD(適正な)、AGRICULTURAL(農業の)、PRACTICES(実践)証明する国際基準の仕組みである。

1997年にヨーロッパで創設され、世界120か国以上に普及している。

援農甲立ファームでは、ミニトマト、アスパラ、白ネギの3品目の認証に取り組み、平成19年見事取得した。

光永さんがGLOBALG.A.P.認証取得への挑戦を決めたのは、販路拡大やリスク管理などといった効果よりも、女性の働きやすい職場環境を作りたいという思いからだった。


「G-GAP認証へのチャレンジは、女性に生き生きと働いてもらえる環境づくりが原点です。女性が働きやすい職場こそ、いい組織の条件なのではないかと考えています。そのことが原動力となり、認証にチャレンジしましたが、取得には苦労しました。栽培するための水の成分や、加工場での靴の履き替えなど徹底的な管理を求められます。

GLOBALG.A.P.は、1度認定を受けたら、それが永続的に続くものではありません。今年で5年目。継続が大事です。」


と光永さん。

体験農園「実来生(みらい)」

「援農甲立ファーム」では、平成20年から体験農園「実来生(みらい)」を実施、運営している。

“実りが”“来て”“生きる”。農業と人の生活とのつながりを示す三文字を繋げたこの「実来生」は、実り豊かな野菜作りの体験をもって、生き生きとした生活を過ごし、魅力的で明るい未来を感じてもらうことができるよう願いを込めて命名されたという。


「野菜作りの未経験者や初心者、こどもから高齢者の方々まで、つらいイメージのある農作業を、レクリエーション感覚で気軽に体験することができる体験農園の提供を主たる目標とし、野菜作りを通じて、農業や自然に関心をもつ人、さらに参加者同士での交流やつながりが増えることなど、明るい地域社会の推進にも寄与することを目標としています。」(援農甲立ファーム 公式HPより)


ここでは、農地の区切られた区画において、種まきや苗の植付けから収穫までの一連の農作業を体験することができる。市民農園とは違い、苗や農具などはすべて用意されており、参加者は、農家の指導のもとで野菜作りができる。一緒に農作業を行うため、初心者でも1年目から品質の良い野菜作りができることが特徴だ。今年で2年目。昨年は12組、今年は14組が参加するなど、人気を博している。


「いざやってみると反響が思いの外あり、昨年よりも多くの人が参加できるよう、栽培面積を広げました。リピーターの人も多く、昨年の意見交換会では、さらに専門的な作業も体験したいという要望が出たりと、みなさん楽しそうに野菜づくりに取り組まれていて、刺激をいただいています。」


と光永さん。

人材育成について

若い世代の人材不足が騒がれる中、援農甲立ファームでは従業員のほとんどが、20代〜40代である。


「こちらでは、独立して農業をしたいという若い世代を、研修生という形で受け入れています。農業はどうしても実務経験を積まないと、中々独り立ちするのは難しく、また設備投資も大きくなってしまいます。こちらで様々な作物に携わって経験を積んでもらいたいです。

また、働き方に関しても、それぞれの目標にあった形を選んでもらっています。午前中のみこちらで働いて、午後は自分の独立の準備をしてもらったり、別の業種のお仕事と合わせて、副業として農業に携わりたい人にも、そのスケジュールにあった働き方をしてもらっています。」


と光永さん。


会社概要


社名

有限会社 援農甲立ファーム


所在地

広島県安芸高田市甲田町上甲立498番地1


代表取締役

光永 直義


業務内容

農場の経営(米作農業、米以外の穀作農業、野菜作農業)


設立

平成14年


従業員数

役員 2名

従業員 24名(正職員14名、非常勤10名

akitakata.nougyou

「akitakata.nougyou」は、安芸高田市で農業に従事している農家さんに伺って、私たち消費者の元へが届く農産物が、”どんな人”が、”どんなところ”で、”どんな方法”で、”どんな思い”で、作られているのかを、安芸高田市の地域性と共に紹介するウェブサイトです。

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