農事組合法人 えーのー
「農事組合法人 えーのー」は、受益面積61haを保有する農業法人である。
戦国の武将毛利元就生誕の地として知られる安芸高田市吉田町にて平成12年に設立。
栽培作物は、お米と大豆。
栽培した大豆で豆腐を製造・販売、加えて豆腐料理を提供するレストランを経営している。
「農事組合法人 えーのー」発足
「農事組合法人 えーのー」は、圃場整備事業を契機に、水田農業の効率化を図るための担い手として「中馬営農組合」、「山手日南営農組合」、「常友・常楽寺営農組合」の3つの営農組合が組織されたことから始まった。
法人化の話が持ち上がったのは、転作作物としての大豆栽培に関して、個人での対応が困難であることや、地域の高齢化によって全作業の委託希望者が増加したことなど、任意の営農組合では対応が難しい事案が増えてきたことがきっかけだった。設立協議会を設置し、議論を重ねた後、高齢農家の利用権設定と転作大豆の集団栽培を目的に、3営農組合の連合組織として、平成12年4月に「農事組合法人 えーのー」は設立された。
栽培作物について
「えーのー」では、水稲と大豆の2品目の栽培に取り組んでいる。
大豆は、法人化のきっかけとなった作物で、現在「あきまろ」という品種を栽培している。
「大豆栽培は、7月下旬播種の晩播栽培を採用しています。日程が不安定になってしまう梅雨時期の播種作業を避けるためです。その反面、生育不足によって、収量の低下の懸念がありますが、密植させることで、収量低下を抑えています。さらに、密植すると雑草の発生を抑えることができるという利点もあります。」
地域の高齢化によって、徐々に作業を受託するようになっていった水稲では、様々なコストを下げるため、水稲密播疎植栽培やプール育苗など、特徴的な栽培法を取り入れている。
「水稲密播疎植栽培は、慣行の株間よりも、株間を広げて栽植密度を下げる栽培法です。この栽培法の特徴は、必要な育苗箱数が少なくなることによって、生産コストや労働時間、育苗スペースを削減することができることです。密播して苗づくりすることで、1株ごとの収量を上げ、全体として収量が下がらないような仕組みにしています。この栽培を行うにあたって、機械の購入や改造の必要はありません。手軽に始められることが、取り組むきっかけになりました。
プール育苗は、湛水できるプールを作り、育苗箱を並べ、必要に応じてプール内に水を入れて管理する育苗方法です。灌水作業の軽減にもなりますし、灌水ムラが少ないため、原則としてハウス全体の苗が均一になるという特徴があります。」
豆腐作り
「えーのー」では、自社で栽培している大豆を使い、豆腐作りを行っている。「えーのー夢豆腐」と名付けられたこだわりの豆腐は、現在組合員お2人で製造されている。毎朝6時半から、1釜40丁で一日に2釜、週2日160丁製造しているという。この度豆腐作りの現場を見学させてもらった。
「豆腐ができるまでの工程は、前日の豆洗いから始まります。収穫後の大豆を水が透明になるまで、10回以上水洗いします。その後、豆に水を吸収させるため、24時間水に浸けます。高い15℃くらいの温度の水であれば、より短時間で、吸収させることが可能になりますが、低い5℃くらいの温度でじっくり浸けておいた大豆の方が、豆腐作りに適しています。」
豆腐ができるまでの工程は、前日給水させておいた大豆から豆腐のパック詰まで、大きく分けると10工程ほどあるが、その中でも、にがりを打つ作業と、豆腐の余分な水分を切るためのプレス作業が、一番気を遣う作業なのだと言う。
「にがりを打つ作業は、温度や混ぜるタイミングで甘みや味に影響するので、気を遣う工程の一つです。現在2種類のにがりを使用していますが、それぞれに最適な混ぜるタイミングや温度があり、その違いを意識して作業しています。
もう1つ気を遣う作業が、豆腐の余分な水分を切るためのプレス作業です。圧力のかけ具合で、食感や味に影響するので、適度な強さや時間に気を付けています。」
圧力釜の蒸気が立ち込める加工所内でお2人は、手早く作業を進めていく。
「衛生面にも細心の注意を払っています。豆腐を切る作業からパック詰は、清潔に実施するために手早く行うことを心がけています。また、豆腐の成分は、乾燥してしまうとこびりついて取れなくなってしまうので、常に加工場と器具の清掃を行い、清潔さを保つことを意識して作業しています。」
こだわりの詰まった「えーのー夢豆腐」は、「えーのー夢茶屋」と「道の駅三矢の里あきたかた」の2ヶ所で販売している。
「えーのー夢茶屋」の誕生
「えーのー夢茶屋」は、自社で栽培した大豆から製造される豆腐を使った料理を提供するレストランである。できたての豆腐や豆乳を味わうことのできるレストランということで、人気を博している。
「町道改修で、ちょうど豆腐加工施設の移転がありました。そのことを契機に、大豆のさらなる付加価値化を目指し、豆腐料理の提供できる施設を作ろうと言う機運が高まりました。」
夢茶屋のメンバーは、飲食店経験のない地元のお母さんばかり。メニュー作りには大変苦労があったと言う。
「最初は、専門家の方の指導もあって、メニュー作りをスタートしました。プロの方のアドバイスは大変参考になりましたが、自分たちがイメージする親しみを感じる料理とのギャップもありました。何度も集まって、どんな料理を出そうか、味付けはこれでいいかなど試行錯誤を重ねて、今の「えーのー夢茶屋」が誕生しました。」
試行錯誤の末、平成15年12月10日、「えーのー夢茶屋」はオープンした。
「「えーのー夢茶屋」は、素材に大変こだわっています。
当店で使用する豆腐は、自社製造の豆腐。また、その原料である大豆も自社で栽培しています。お米に関しても、自社で栽培したものを使っていますし、メニューに取り入れられる大豆以外の食材も、できるだけ地元で栽培されたものを使っています。」
会社概要
社名
農事組合法人 えーのー
所在地
〒731-0523 広島県安芸高田市吉田町山手1623-13
代表理事組合長
新川 文雄
業務内容
農場の経営
設立
平成12年
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